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■1950年代/60年代のリバティープリント
「Liberty and Co. in the Fifties and Sixties A Taste of Design リバティー商会 1950年代-60年代」が新たに蔵書に入ったので、リバティーの歴史について2年生美術史の講義をされている荻原先生に訊ねたところ 丁重な解説文をいただきました。荻原先生は日本画家でもあり、「東京建築遺産を描く」POSTCARD BOOKを出版されています。 □リバティーデザイン 19世紀後半の英国に【リバティー商会】を設立し、近代ヨーロッパに求められた新しい”生活の美”に基ずき、テキスタイル・衣服・インテリアなどの良質な繊維製品を考案し、さらに革新的で自由な婦人衣服の制作も手懸けたアーサー・レイゼンビー・リバティー(Arthur Lasenby Liberty)がいた。 地方都市の服地屋を営む家の長男として生まれ、やがてロンドンに出たリバティーはペイズリーのショールが大人気の王室御用達「ファーマー・アンド・ロジャーズ」に職を得て、オリエンタルハウスの店長に抜擢され、驚くほどに売上を伸ばした。さらにその高い審美眼を生かし、日本・中国・インドの東洋美術品を輸入販売する「イースト・インディアハウス」の名で自ら店を出して独立する。 経営者の才能があるリバティーは、当時の室内装飾や服飾全体を革新したいとの考えがあり、特に婦人服の腰あて・肩パット・コルセットを排し、美と機能を備えた趣味のよい婦人服の創作を願っていた。 この時期、ヨーロッパではジャポニスムが大きな流行で、シンプルで優美な日本美術から大いに影響を受けて家具のデザインに励んでいた建築デザイナーのゴドウィンを「リバティー」のコスチューム部門の責任担当者に抜擢する。やがてゴドウィンは幅広い芸術的才能を発揮し、健康的で知性的、進歩的な婦人服の創造へと導きリバティー商会に貢献した。 リバティーの関心事の一つに日本・中国のシルクがあった。彼はその東洋的な微妙な色合いと、優雅でしなやかな感触に魅せられ、ついにイギリス独自の機械による絹織物生産を考案する。 とくに染色はウイリアム・モリスとの提携があるトマス・ウォードルに協力を仰ぎ、 優雅なパステル調シルクを創作して良品のプリント生産をめざした。 そのプリントに再現された色はやがて「リバティー・カラー」と呼ばれるようになり、 先に手作りの良さ、用の美を提唱して、イギリス中産階級の間で大いに人気を博していた生活工芸美術運動である<アーツアンドクラフト>のウイリアム・モリス達も、その機械生産によるリバティー製品の美しさをおおいに認める。リバティーは第4回パリ万国博に「エステテッィク・ガウン」を出品、パリ市民の人気をも得て、後にパリのオペラ座通りに進出。しなやかで美しい良質なシルクプリントは世界中の称賛を得て、現在でもイギリス国民の“趣味”を代表するものの1つとなっている。 □リバティープリント 第二回ロンドン万国博はリバティーが20歳の時、この頃から日本の美術工芸品が、革新をめざす芸術家や美術愛好家達を魅了しはじめ、ヨーロッパ中に<ジャポニスム>の流行が広まっていった。とくに1870年〜1890年代にかけての新しい装飾様式はアールヌーボー様式と呼ばれ、日本の浮世絵や美術工芸に描かれた自然の草花・小鳥・水・樹木・独自の色合い・しなやかさ等を美術家達は進んで作品に取り入れた。 イギリスでは、アーツアンドクラフツ運動の中心にいたウイリアム・モリスが中世のゴシックやケルト文様、ジャポニスムに見られる着物などの植物図柄などを参考に新たなテキスタイルデザインの創作をすすめていた。特にモリス工房の手仕事による染色プリントや壁紙には優美に図案化した花柄や小鳥のデザインが特徴となり、すでにイギリス中産階級の人気を博していた。 その当時のリバティーはウイリアム・モリスの”用の美”の思想に共鳴し尊敬していたが、より一般の人々に”生活の美”を浸透させる事を願い、新しい繊織械を考案、さらにモリスと提携している染色家トマス・ウォードの技術協力も得て優雅でしなやかな日本・中国のシルクプリントに負けない独自の染色プリントの量産化を成功させた。 「リバティー商会」はその良質な生地に独自の優美な花柄をプリントデザインして、女性が自由で健康的、知性的にゆったりと着こなせる魅力のある衣服デザインをも考案した。ウイリアム・モリスの亡き後モリス商会のデザイン版権を買い取り、いっそう世界中の人々にリバティーデザインは広く受け入れられることになった。リバティー社のプリントデザインはスタンダードになり、100年を超えた今もその魅力は衰えない。 (美術史 荻原延元)
by esmosbookstack
| 2009-05-05 11:13
| textile
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